運河の音楽感想13

神大スタッフで、当日はクレーンと演奏する、その名も「クレーンの音楽」に出演した藤井さんの感想です。


当日レポート(クレーンの音楽)
予定時刻より前に既に観客がたくさん。出演者3人はクレーンに連なるように一列にスタンバイ。晴天で気持ちよく、早く15時にならないかな、とそわそわしている。
緊張が程よく高まったころに15時になり、パーカション木村さんの音から始まる。リハーサルの時とは異なり、細かい打音の連続。田中さん、藤井も後に続く。しばらく続いた後、藤井は中野商機のビルへ移動し、登りながら鍵盤ハーモニカを吹く。思っていたほど観客の視線は動かなかったけれど、音響的に変わっていることを感じてもらえただろうか。5分ほどで最初の位置に戻り、今度は木村さん田中さんも定位置から少しずつ移動しながら演奏。地面や手すりをスティックでたたく木村さんが印象的だった。初めの勢いが少しずつ緩やかになり、中間部では音と音とのひそやかな会話が行われていたように思う。中間部から最後にかけては木村さんのスチールパンの醸し出す民族的な音色にリードされ、田中さんのボンゴ、藤井の短い鍵盤ハーモニカの音がそれぞれ組み合わさり、またそれらが運河に共鳴し神秘的な空間を生んでいたように感じられた。開演20分後、予定通り鶴岡さん操縦のクレーンが動き出す。観客の視線はクレーンの動きへと移り、その場にはクレーンの持続的な機械音が加わる。私はクレーンと対話したいと思うようになり、クレーンの動きに合わせて演奏を試みる。やがてクレーンが徐々に動きを止めていき、クレーンの音楽は幕を閉じた。

感想
 今までの私の数少ない経験の中で今回の運河の音楽のようなイベントは経験したことがなく、戸惑うことも多かったのですが、スタッフ・演奏者として貴重な経験をさせていただいたことに感謝しています。秋頃からロケハンに行ったり、ミーティングを重ねるうちに大きなイベントになっていき、期待も膨らむ中、今回のこのイベントはどうまとまっていくのか、個人的に気がかりだったところもありましたが、最終的にはコミュニティアート、映像作品、など多様な側面でまとめ上げられていったように思います。
 本番はすべて鑑賞することはできませんでしたが、フィナーレの部分で次々に上演されていく様子は、多種類の音風景がランダムに場所を変えて再生されていくようで、野村さんの言われる「幻聴」とはこういうものなのかな、と感じたりしました。担当させていただいたクレーンの音楽では、クレーンと演奏という今までにない経験をさせていただきました。当日まで不安もありましたが、共に演奏させていただいた二人の演奏者の助力もあり、演奏を楽しめることができました。晴天の中での演奏というのは気持ちよいものでした。また是非屋外で演奏をできれば、と思います。
 短い準備期間であったにもかかわらず、無事本番を終えることができたのはたくさんの事務作業をこなしていかれた沼田さん含めスタッフの方々の力があってこそだと思います。本当にお疲れ様でした。またこのような機会があれば、関わりたいと思っています。