運河の音楽感想3

 心配していた天気も満面の笑顔で迎えてくれるように、当日は気持ちのいい快晴。
 当日の朝私は、『運河の音楽』同時開催の『ボート試乗会Bコース《アカペラ舟歌》』出演者として、アカペラバンド「エレガントカシマシ」のメンバーと共に、8時半に艇庫に集合した。朝早くにも関わらず、艇庫は既にたくさんのスタッフたちで賑わっていた。私たち4人はリハーサルを済ませるや否や、定刻となり観客を乗せて船旅へと出発した。第1便の観客は運河近くの会社の従業員女性2名で、このイベントの趣旨に少しでも貢献できたのではと思う。


*《アカペラ舟歌》で歌った曲*
Amazing Grace」、「この道」、「島唄」、「しあわせもあこがれも」、「You Raise Me Up」


 《アカペラ舟歌》終了後、艇庫でお借りした自転車で大移動を繰り広げ、次の最終目的地、キャナルプロムナードへ。到着したキャナルプロムナードの中心では、レッドカーペットが敷かれた中央で和太鼓設置の準備が着々と進んでおり、観客も集まってきていた。神戸ドック方面から歩いて来た観客は、入口付近で歌っていたアカペラバンド「おてん」、続いて私たち「エレガントカシマシ」、「Lv. ミジンコ」、「Angelina」と順番に横目で見ながら歩いていき、時には立ち止まって聴いて拍手までくれる観客もいた。
 今回私は、このプロジェクトの中でアカペラサークル関係の渉外として主に活動した。結果的に約30名のサークル員が参加してくれたが、彼ら大学生に新たなコミュニティを紹介するという役割も果たせたのではと思う。神戸の大学に通っていながらあまり知ることのなかった神戸の一面、兵庫運河付近の地元のパワーを感じ取ってもらえたように思う。参加してくれた彼らからはそのような嬉しい感想を聞くことができた。各々に、兵庫運河の美しさ、壮大さ、水上の気持ちよさを感じ取り、快晴の下のキャナルプロムナードでたくさんの人に自分たちの音楽を聴いてもらえた喜びを口にし、そして、普段ならあまり見ることのない和太鼓とコンテンポラリーダンスを目にして驚きと共に様々な感想を持ったようだ。このように普段出会わない者同士が出会う機会というものを提供できたのも、このような野外イベントならではなのだろう。


 当日後半は私も観客の一員として『運河の音楽』を楽しむことができた。特にフィナーレは圧巻で、人でごった返した艇庫前で数々のドラマを目にすることができた。
 私自身、このような大規模なプロジェクトにスタッフおよび出演者として携わることができたことを光栄に思うと共に、学ぶことも多かった半年を過ごすことができた。制作日記を読み返すと既に懐かしいが、スタッフメンバーに入る前と今とでは明らかに私の中でも変わったものがあると実感する。今後このプロジェクトを通して学んだこと、考えたこと、感じたことを活かせる場は山ほどあるだろう。中心となって引っ張って下さった幸弘さん、里衣さん、苑子さんをはじめ、数えきれない方々にお世話になり本当に感謝している。この『運河の音楽』を通して築かれた新しいコミュニティの絆がこれからも続きさらに発展していくことを願っている。

池本早織(アカペラ舟歌、アカペラストリートライブ出演、神戸大学スタッフ)