上映会終了

5月30日、無事上映会を終えました。
当日は、18:00からミニコンサート、
19:30から上映会を行いました。

下記は、沼田里衣の感想です。


ニコンサートは、最高でした!
まず、艇庫という場所がすばらしい。
元食糧備蓄庫だった空間は、本当に音が良く響き、
厭味な感じの残響ではなく、奥ゆきを感じさせる懐深いところ。

1番目の音遊びの会の出し物も、すごく良かった。
始まりから、なんとも暖かな鉄琴の音、無機質な感じの打音、
それに絡むような暖かな節々。
艇庫の蒸し暑さも、程よい暖かさに感じられたほど。
2セッション目の地域のユーフォニウムを吹く人と
トロンボーンの掛け合いも、新鮮味に満ちていて、
その前で踊るダンサーもよく、
ユーフォニウムの人はとにかく感激していた。
彼にとって、今回は「失敗だった」そうなのだけど、
それで音楽の別の側面に気付かされた、ということ。
だから、良かったのだ。
3セッション目のBIG BANDの、いつものようにカオスまでなりきらない
音の塊、うごめきは、デクレッシェンドで終わるという
最後まで新鮮な展開。
ミュージシャンと子供のバランスも良かったのでは、と思う。


2番目の小田さん(いろいろ)とのんとさん(電子楽器)も
良かった!
「いろいろ」による演奏が、あんなことになるとは・・・!
12時ころからの準備の段階で、二人ともすでにとても楽しそうで、
近くのコーナンに何やら飛び道具を買いに行ったりしており、
本番では、たぶん考えたよりも即興性の高いパフォーマンスになったのではないかと思うけど、
とにかくそれも存分にやりたいことしていて、楽しそうだった。
今回初めてのコラボだけど、相性はなかなか良いようでした。


3番目は、高齢者のハンドベルグループと
私を含む音楽の広場隊による「そよ風:竹林の語り」。
これは、音楽の広場隊がみんなでアイディアを振り絞り、
高齢者とのコラボレーションを実現したもの。
高齢者と一回やったワークショップも、できる限り言葉での対話を取りながら
演奏法を決めていったし、
学生との演奏部分もリハーサルをできる限り重ねた。
艇庫の面白さを生かし、高齢者の、目をつぶってでも一音にかける
演奏の良さを生かし、学生との演奏を高め、
濃密な即興的対話をうまく見せる方法を考えた。
結果としていいコラボができたのではないか、と思う。
またぜひやりたい。


4番目の、ソロでの打楽器奏者木村さんは、
そんなベルの演奏を高評価する語りを入れながら準備。
その演奏も素晴らしかった。
あのような演奏の良さをなんと言うのだろう。
うまく言えないけど、木村さんにとって、あの場所にとって、
あの「時」に絶対になくてはならない音の連なりだったのだろうな、
という感じがした。
気迫に満ちた演奏だった。


これらの出し物がぴったり80分で終わり、
10分休憩の後、上映会。
出演者や観客も続々と集まってきた。



映像は、本当に素晴らしかった。
編集のうまさはさることながら、
私が一番感激したのは、
素人さ、技術など関係なく、
その人がその時にしかできないような輝きを放つ
演奏の楽しさが、本当に「しっかりと」収められていたこと。
最後のシーンの天真爛漫な歌声には、
何度見ても泣かされる・・・。
文部省唱歌で泣かされることがあろうとは。



撮影者も、本当に意味でのプロばかりではないのだけど、
そうした撮影者も含めて、
演奏者も、スタッフも、みんなが「本当にやりたいこと」
を思う存分やれた音楽会だったからこそ、
ここまでのものができたのだろうなあ、と思う。


上映会を終えて思うのは、私は学部生時代に
自分はどんな音楽がしたいのか?ということを考え始めて以来、
素人さ、生々しさ、新鮮さというものを
追い求めてきたんだなあ、ということに、
改めて気付かされた。
そのうちでも、特に素人っぽさが放つ輝きみたいなのが
好きなんだなあ、ということが今回の大きな気づき。
素人っぽさと言っても、特に素人であることが問題なのではなくて、
何か、アートをする際の態度の問題なのだけど。
そういった内容が、同じようで別の考えを持つ人により、
映像でまとめられて、
再び自分の前に分かりやすく現れたことが、
新鮮だった。


終了後は、夜が明けるまで飲み会。
年度が変わって、みんな新しい状況に置かれている。
それでも、つまらなくなりようがない「芸術」に惹きつけられて、
みんな今後も活動していくのだろうな。


兵庫運河際など、これからもできる限り
ここのコミュニティと関わっていきたいと思う。
またここに報告していきます。


(沼田里衣)